Qui bene cantat, bis orat. よく歌う人は2倍祈る

南山大学スコラ・カントールム 2006年度定期演奏会プログラムより

「スコラ・カントールム」という言葉には「(聖歌)歌手の学校」ほどの意味があります。ですから,わたしたち「南山大学スコラ・カントールム」は,「南山で聖歌を学び合っている仲間たち」ということになるでしょう。その意味で,聖歌の学び舎であり本来の演奏の場でもある聖堂において毎年の定期演奏会を開催させていただけることに,わたしたちはとても感謝しています。

本日のこの演奏会パンフレットの表紙にもありますように,「Oratio祈り」が,わたしたちの音楽の大きなテーマです。なぜならわたしたちが学んでいる聖歌は,祈りにほかならないからです。

祈り―。祈りとはなんでしょうか。

「イノル(祈る)とはイキにのる(息にのる)ことだ」といわれます*。心身を空っぽにして神の息吹きに満たされること,息吹かれるままに只そこに在ること,これが祈りだというのです。

このような祈りにわたしたちは心身の安らぎを覚えます。日常のさまざまの煩いに疲れてしまったときも,ただこの身を静かに祈りに浸しておりますと,少しづつ心が透んでゆくように感ぜられ,本来のわたしに還ることができるからでしょうか。そのようにして自分自身の座標軸がしっかり見据えられるならば,次に踏み出すべき一歩もおのずから明らかになるでしょう。祈りはわたしたちに勇気を与えてくれるものでもある,そう思います。

今日のこの日のわたしたちの精一杯の演奏が「祈り」となってこの聖堂を満たし,お越しの皆さまとともに愛と平和に満ちたひとときを過ごすことができますように。心からそう願っています。

*押田成人『遠いまなざし』(地湧社、1983年)より